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冬に孵る蜉蝣が きょうも音なくしんしんと
灰色の空を背に 跳び回っておりました

冬に訪う水鳥が あすには首を持ち上げて
灰色の空目指し 飛び立ってゆくでしょう

春を匂わす青き踏み きのうを顧みる頃に
蜉蝣も水鳥も かえらぬものとなりました

青天輝く春の日に きのうを省みる頃に
生き難き冬の日は はかなきものと消えました

0080(2012.2.29)

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どれほど 言葉を尽くしても
降り積もるのは 無力ばかり
私の口はいつからか
形ばかりのものに なっていた

どれほど 眼を凝らしても
今やその身は 影もなく
私の目はいつからか
曇った硝子と なっていた

どれほど 歩みを重ねても
辿り着く 道にも立てぬ
私の足はいつしかに
立ち尽くすのみに なり果てた

0079(2012.2.6)

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黒い雲の切れ間から
あなたの影が舞い降りて
一人きりの帰り道を
束の間照らし出した

冷たい風が吹き抜けて
雲は速い速度で流れていく
わたしへ落ちるあなたの影も
風に遊ぶように揺らめいて

凍り付くにはまだ早い
秋の終わりの名残の日々に
あなたの影は仄かにぼやけて
温かな光と見えた夜だった

つきかげ 【月影】
月の形。月の姿。月。[1]
月の光。月のあかり。月光。[2]
月光に照らされて映る人や物の姿。[3]

『大辞泉』より

0078 (2011.11.10)

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緑の頃 思い染めしは
緑葉(あおば)匂う 麗しひと
嗚呼 密かなる 恋をした
わたしは やがて 色付きます

木枯らしの頃 風はすさび
赤く散りゆく 刹那の華 
嗚呼 あなたと 共になら
この身を 早瀬へ 投げましょう

風のいたずらに 水のきまぐれに
踊らされる身とは 知らずに

流れ流れても巡り会えぬ
わたしは悲しき紅葉の葉
別れ別たれた川を染める
龍田の姫の綾錦

人は知らねど 華も恋をします
短き季節の 果敢無い恋です

雪解けの頃 仄か色付く
新たな命の 芽吹きの中
今一度 奇跡 夢見て
わたしは この地へ 帰りましょう

0077 (2011.9.23)

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Fin'e xel, fin'e noua, fin'e luca finieri
Fin'e xel, fin'e noua, And'e luca archieri


Ma zirk crone domene touto kanto
M'arc-An, portetzi torne wul seel'is
Piusyue Rita, riste alm'is


Luc'e l'asyuel elees, re-prim n'ande
Sajji wul touto L'ur ur n'andia,
Tentetzi sue raize re-primio

SOLITARY aim Yuin, nei la Luca!


And'e Luca! Regn'e noua, finier'em andia!
M'archieri wul touto l'ur ur, sue la Lucia!



白い花 夜の花   月の花   開く
白い花 夜の花 アンデルーカ 輝く

  時を支配せし偉大な円規
  命を乗せ伝う大いなる方舟
  魂を慰む優しき光

 天の月は斃れ 土の中より甦りぬ
 地に埋む すべての精霊をすくいあげ
 今ふたたびの旅路へと 誘へり

 女神に愛されし その名こそ 月<ルーカ>
アンデルーカよ  地に開けし 夜の王よ
すべての精霊を  汝の楽園へ導き給え



And'e Luca 「アンデルーカ」
夏至の後の最初の新月の夜に咲く白い大輪の花。
月が地上に降りて来た姿に例えられる。地月花(ちげっか)。

0076 (2011.8.27)

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わたしの中には、理想のわたしの姿がある
「こうありたい」と昔決めたわたしが、そこにいる
反面、捨て去りたいわたしも、そこにはいる
そのわたしが、理想のわたしの邪魔をする
理想のわたしであろうとするわたしを、邪魔する
「《あなた》は誰だ」と、わたしは自問する
《あなた》のことが嫌いだから

わたしの中には、ふたりのわたしがいる
わたしが望んで造り上げた、理想の姿と
わたしが生まれ持った、ありのままの姿

ありのままのわたしが痛みを負うたびに
理想のわたしの輪郭は、明確になっていく
理想のわたしが誰かの期待を負うたびに
ありのままのわたしが、内側で暴れ出す

《あなた》はそういう存在なのね
理想のわたしを守りたいと、頑なに願い続けて
そうとも知らないわたしに憎まれる存在

わたしの中には、ふたりのわたしがいる
わたしが造り上げようとする、理想の姿と
誰よりもわたしの味方であり続ける、《あなた》

今のわたしは、《あなた》のことが、少し好きだ

0075 (2011.6.28)

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「きっと、もうすぐ終わりだね」
そう言った君の声が 今も耳に貼り付いて剥がれない
返す言葉もななくて 僕はただ目を閉じた

はじまりは いつも些細なこと
薄っぺらな氷のような 頼りない幻
でも 僕らにとってそれは
きらきらと輝いて見えていたから
手を取り合って渡れるはずと 信じていた

凍て付いた冬の朝 僕らは静かに出逢った
けれど 太陽はやがて残酷に
すべてを照らして 溶かしてゆくだろう

僕らの足元に 激しく流れる水の音が 鳴り出す

0074 (2011.6.25)

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僕が誰かを愛するという 光
その光が どこかに影を落とすというの?

僕が君をただ思うという 闇
その闇が 誰かに罪を落とすというの?

それでも僕は構いやしないんだ
僕は手に入れたい たった一つの幸せ
そのためなら 他人の不幸を蜜にして
飲み干すくらいしてやろう

それでも僕は幸せなんだから
僕は手離せない たった一人の君を
このままずっと 他人のことなど映さぬよう
目を塞いであげるよ


僕が落とす影 犯す罪
君の目にその闇が触れぬよう

君が持つ光 僕だけの光
その輝きが翳らぬよう

それが君にとっての幸せなんだよ?

僕は手に入れたい たった一つの幸せ
そのためなら 他人の不幸を蜜にして
飲み干すくらいしてやろう

僕は手離せない たった一人の君を
たとえいつか 報いを受けようとも
君と僕の幸せを 誰にも侵させやしない


僕が誰かを愛するという 光
君が愛する 僕の光

僕が君をただ思うという 闇
君が知らない 僕の闇

0073 (2011.6.5)

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静けき夜は 深藍(あい)に沈み
無垢なる薔薇は 蒼白(あお)に染む

深く 深く まどろむ薔薇は
ゆめうつつの揺り籠の中

今や遠き あの人の影を見て
今はなき あの人の声を聞く

夢とも知らず 現をかさね
偽りの幸せに身を浸す


静けき夜の無垢な薔薇
ゆめに蒼く染みて いと美し

されど うつつには叶わぬ願い
遠きは遠き 無きは無き

夢と知りては 現に嘆き
醒めた不幸に身を侵さる

悲しみに蒼褪むる薔薇 いつしか
狂気かさね 真に蒼く染まりにき

すべては あの人の為
すべては あの人の為

すべては あの人の為

薔薇は蒼く染まりにき

0072 (2011.6.1)

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「忘れないで」と語ったあの日を
円盤に閉じ込めて君の耳に託した
受け取る君は嬉しそうに笑ったけれど
僕の心は泣いていたのかもしれない

きっと君のまっすぐな心は
その言葉を守ろうと必死になってしまう
だからずっと円盤を回し続けて
わっかの中に自分を閉じ込めてしまうだろうから

もう一度君に言葉を贈るのなら
「忘れて」と告げることができるだろうか
そんな叶わない願いに
僕の心は泣きながら笑っている

0071-b (2011.4.25)

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円盤に刻まれた君の声が
永久に色褪せることがないように
わたしのこの耳も
君の声を永久に愛することができるだろうか

光の中でよみがえる君の声が
「忘れないで」と語りかける
それさえもいつか
この心に届かなくなる日が来るだろうか

そうならないように
今日も円盤をくるくる回す
君の声をわたしの心に刻んで
永久に君を愛するために

0071-a (2011.4.25)

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reta mAamYA oucc , targue pipit kierre/.
わずかな時間でも 一緒にいて下さい。

zess xE rre poe s.n.k. dn w.s.eh tapa ,
種が水をうけ芽吹くように、

hEkEtEtNeh ag hEwAssYA/.
わたしは あなたに包まれて育つのです。

naave wAfE nmlYE ess YAeje_nafa/.
優しいあなたの心で わたしを染め上げて下さい。

wAf cAzEeh raudl dn goa YAeje/.
わたしは あなたの心のままに 姿を変えましょう。

sev xU rre sarr w.n.s. ag xU rre siann w.r.m. ,
朝陽が訪れ 光が世界を照らすとき、

jUlrI ag tInUeh/.
わたしが目覚めるまで、

reta mAamYA oucc , targue pipit kierre/.
わずかな時間でも 一緒にいて下さい。

forgandal, xE rre yorr m.t.y.y.eh pupe dn Ay.z.t./.
あなたは わたしの妄想が創り上げたうたかた。

naave, aiph zz m.a.m. , xN yorr zz m.a.m./.
わたしの中でしか存在できない、

forgandal, xE rre yorr Asiance v.a.eh ag t.r.m.eh/.
わたしが紡ぎ出した わたしだけの楽園なのだから。

0070 (2010.12.21)