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 この名に残るものは祝福でしょうか、それとも呪いでしょうか
 ここに刻み込まれた消えない痕は、わたしを苛み続けます

 信じることを教えてください
 向き合う勇気を与えてください
 目を背けず、戦わず、受け容れる強さを
 どうか、この手にそそいでください
 この手ですべてを包むために

 また、声が聞こえます
 祝ぎに似た声で
 呪いに似た真摯な声で
 この名前は、消えることがありません
 わたしの存在の、裏を打つもの
 それが名前

0087(2016.11.09)

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 信じることを教えてください。
 向き合う勇気を与えてください。
 目を背けず、戦わず、受け入れる強さを。
 どうかこの手にそそいでください。
 この手ですべてを包み込むために。

0086(2016.11.09)

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 苛烈を極める自由は、私たちを次々と狂わせてゆきました。
 光に焦がれ、焼け死んでいった薄い翅たちのように。
 愚かな本能に支配され、私たちは次々と滅んでゆきます。

 悲しみではなく、歓喜の涙へ。
 苦しみではなく、悦楽の悼みへ。
 憎しみではなく、理不尽な愛へ。
 塗り替えられた感情が、この身をやがて焼き尽くすでしょう。

 もう止めることはできません。抗うことさえも。

 自由という名の、極彩色の混沌へ。
 透明の翅をふるわせて、私たち羽ばたいてゆきます。

 けれど、脆い翅は及ぶに能わず、
 いつしか、無数の灰燼となって降り注ぐのでしょう。

 無色の静謐が、私たちを永(とこしえ)の褥に横たえる、あの楽園へと。

0085(2016.10.05)

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 世界のはじまりを 眺めていたの
 白い霧の彼方から この街は生まれてくる

 伸ばした手で 掻き回してみる
 少し冷たい水の気配が 纏わりつく

 もっとこっちへおいで 霧の街
 わたしを包んで ここではないどこかへ連れて行って


 吐き出した思いが 消えていくの
 白い霧の彼方へと この街は還ってゆく

 伸ばした手を 優しく引いている
 夢うつつの足音を置いて 歩いてゆく

 もっとこっちへおいで 霧の街
 わたしの中まで その白さでなにもかも満たしていて


 もっとこっちへおいで 霧の街
 わたしを包んで ここではないどこかへ連れて行ってよ

0084(2016.09.22)

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 瞼を閉じて
 意識を虚空へ預けて
 ただ待つのは
 眠りという名の隣人

 あなたは万物の恋人
 誰しもが逃れられはしない
 あなたという欲望から

0083(2014.02.04)

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 響き渡る 亡国の音
 渇いた砂を噛む 鈍い晩鐘

 生命が絶えず求めているのは
 生まれた意味と 死ぬことの意義

 生まれると同時に 死へと刻まれていく 懐中時計

 迫り来る 亡国の音
 祈りの声と 嘆きの暮鐘
 響き渡る アンジェラス
 天使の歌に似た きゅう鏘の音

 生命が往き去るこの世界は
 死ぬために生まれる ただ一本の理(みち)

 消えない傷と過ちを 記憶に刻む 二重螺旋

 響き渡る アンジェラス
 祈りに重なる 鈍い晩鐘
 迫り来る 亡国の音
 祈りの声と 嘆きの暮鐘

0082(2013.6.15)

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 君もやがて知るだろう
 君の見ている光は
 遠い時空を 超えて届く
 命焦がす 想いの火

 揺らぐかげろう 蝉しぐれ
 空をゆく 星座に宿る あまたの神話

 遠くまたたく 六連星(むつらぼし)
 百年(ももとせ)の 約束宿し 時をわたる

 君もやがて知るだろう
 君の見ている光は
 遠い過去に 失われた
 命尽きた 星の残滓

 常闇(とこやみ)に印す 星標(ほししるべ)
 君が見つける光は
 光年の時を 裂いて飛ぶ
 命つがえた 想いの矢

 夜空に散らばる 星々を
 繋ぎ合い 語り紡いだ あまたの神話

 闇につらねる 絆となれ
 百年(ももとせ)の 約束照らす 光となれ

 遠い時空を 超えて いま 届く

0081(2013.6.15)

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Silverry moon light